日本の伝統工芸、伝統の工芸品


インタビュー

Q.今の創作活動に入ったきっかけは何ですか? 

A.もう創作活動は25年になりますが、役人として以前は精密機械(航空機の部品)を作る仕事をしておりました。
退職前3年は奈良におりまして、京都へ足を運ぶ際に立ち寄った能面展で、初めて間近に面を見て、強く惹かれたのがきっかけです。
その後東京の本庁に戻ってからもずっとその時のことが頭に残っておりまして、55歳で退職する間際、三越の展示会で今の師匠に出会ったのが縁で、教えを請いました。
最初の作品は、友人が買ってくれ青山の寺で舞ってくれたのを、今でもよく覚えています。
本当に嬉しかったなぁ。

Q.能面の魅力はどういうところにありますか?

A.「能面のような表情」ってよく言うでしょう?
あれがね、許せない。
理屈じゃなく、能面にはとても豊かな表情がある。
舞台での照り曇りによっても表情を生むが、それ以前に打つ人の心や人柄が面に出ると思うのです。
また綺麗すぎるものがよいわけではなく、左右対称だととても不自然、表情が出ない。
人の顔と一緒ですよ、曲がっていて当たり前、違和感がない。
ゆがみの中に人間性がでるのです。
能面というのは、現存する270~280種類の面を、型やデザインを元に複製を作るので、新たに生まれるものではありません。
その決まった形の中で、個性を出す苦労が制作の面白さでもあります。
「なんとかよいものを、世に残るものを、満足できるものを」と、それだけを考えて面を打ち続けてきましたが、なかなかうまくいかないものです。
死ぬまでに1つ、良いものが作れたら幸せだなぁと思うのです。

Q.制作にはどのくらい時間がかかるのですか?

A.1日4時間だと、月4回で3か月くらいです。
つめれば1ヵ月でも出来ますが、大抵いくつも並べて同時に作ります。
2か月に1面~2面を仕上げるような流れです。

Q.初心者が能面を選ぶ時の注意点はありますか?

A.生きた能を見ている作り手の能面は違うと思うのですよ。
よく、打つ専門で、能を見に行かない作り手もあるが、実際に自分の面が舞台で使われて、動きの良し悪しも見ないと、本当によい面は作れないと思うのです。
出来る限り舞台や古面の能面展に足を運び、勉強させてもらっています。
だからと言って、見分けをつけるのは正直とても難しいので、ご覧になられてご自身の感性に合うものを求められたら宜しいのではないでしょうか?
購入する時も大事ですが、実は使い方や保管の方法も大事で、居間に掛けっぱなしの状態にするのは良くないです。
能面は生きていますから、たまに箱に入れて休ませてあげないといけない。
でも逆に、大事にしすぎて箱に入れっぱなしにしておくのもどうかと思います。
壁にかけられて埃を被る、その埃もまた面の面影を活かすのです。

Q.現在と今後の活動について教えて下さい。

A.主に面匠会という能面師10数人の団体を主宰しています。
活動は、年1~2回の展示館等の開催が中心です。
ギャラリーや個展での展示も面白いのですが、公的会場での展示は、販売目的ではなく、人に見てもらい、批判してもらって、作品を高めていくきっかけにしています。
ケチをつけて帰る人や意見を述べてくれる人、いろんな人が来ますので向上心の刺激になりますよ。
今後は、もう弟子を取るのは疲れるので、しばらくはよい面を作れるよう、心をこめて打っていきたいと思っています。
取材してきました
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税込み価格
プロフィール
能面師 能面師  【神奈川県】
久保雅象 (クボガショウ)


女面に代表される中間表情の面は、舞台の前後にわたってかけられ、2時間という長時間にわたることもしばしば。もしこの面が一つの表情しか表わせないものだとしたら、観客は見るに耐えられない。あらゆる人間の感情表現を具現化する魔法が、能面師によって面に込められていると言える。



能は「無」を目指し、無限を描く。表現を減らす、動作を減らすことに、精魂をかけてきた。「居ぐせ」の状態にあっても、演者の脈拍は人知の及ばぬ域へと高まる。音のしない間を際立たせ、大事な演奏ほど、無音が多くなる。感情表現の最大の要素「顔」を捨て去り、「能面」の無限の表現を手に入れたのだ。



久保氏の制作もまた、先人に続く遥か時空の向こうを目指し、留まることを知らない。
略歴
1983能面作家小倉宗衛氏に師事
その後数々の展示会へ参加。
元日本芸術家連合会副理事長
元宗衛一門会会長
元日本能面工匠会会長
前創美会常任理事
面匠会会長

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